Nippoku Style | いやぁ 反応があって いい生徒さん達ですねぇ
 
 11月12日(金)に行われた「創立30周年記念式典」で記念講演をしてくださった大江健三郎先生は、生徒達に「注意深くやること」と「リ・リード」が大事だと言うことを話してくださいました。
 大江先生は、ご自身のお子様が通われている学校以外では、高校生を相手に話す経験はほとんどなかったと聞いておりましたが、本校の生徒達に、とてもわかりやすく話してくださいました。
 大江先生は電話をお使いにならないので、手紙でやりとりをしましたが、その先生からのお手紙が、今回の講演の記録とともに、本校にとっては大切な宝物となりました。
 その手紙の中で先生は、今年から1年に2、3回しか講演を行わないことを書いておられますが、そのうちの一回が日立北高であることに誇りを感じます。今年のもう一回の講演は、3月に行われたシカゴ大学での記念講演だそうです。
 先生のお話は、「自分が17歳の頃何を考えていたか」に始まり、「今、高校生に何を伝えたいか」という内容で締めくくってくださいました。先生が高校生に伝えたいことは、「注意深くやること」と「リ・リード」が大事だ、という二つのことです。先生は、ご自身の体験を話されながら、「注意深く読むこと」だけでなく、「注意深く勉強すること」「注意深く生きること」をはじめ、何に対しても注意深く対することが大事だと話されました。
 また、「リ・リード」の大切さについても話してくださいました。「リ・リード」、つまり、一度読んだ本をもう一度読み直す事で、一回だけ読んだのでは得られない本の世界を、二回読むことで得られるということを話してくださいました。「一度目に読む時は、それまで全く知らなかったその本の世界を理解し、二度目に読む時は、その本の世界をある程度わかった上でより深く本の内容を理解していくことが大事なんだ」ということを、本校生達に、わかりやすく話してくださいました。
 ステージの袖にいた私の所にも、大江先生の話にあわせて、会場からは笑い声や「うーん」という声も聞こえてきて、会場全体が大江先生のお話に引き込まれていることがよくわかりました。
 本校生への講演は、予定時間を大きく超えて行われましたが、司会者の「時間が過ぎていますが、大江先生に壇上で是非聞いてみたいという勇気ある日北生はいますか?」との問いに、生徒二人が壇上で質問に立ち、その質問にも先生は楽しそうに答えてくださいました。
 講演後、控室に戻られた先生は開口一番、「いやぁ、反応があって、いい生徒さん達ですねぇ。地方の公演では、ほとんど反応がないんですよ。今日は凄く反応があったし、予定になかった急な質問にも壇上に登ってくれて、いい生徒さん達ですよ。」とおっしゃってくださいました。
 講演後、私たちは大江先生と、控室でしばらく話をしていました。そこに、質問した生徒二人がやってくると、それを見た先生は椅子から立ち上がり、三人で楽しそうに話されていました。先生ご自身が、今終えたばかりの講演を満足なさっていることがよくわかる光景でした。
 30周年を機に、大江先生に講演していただけ、本当に良かったと思っています。そして、世界で多くの方々を見てこられた大江先生からほめられた日立北高生を、大いに誇りに思います。


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