Nippoku Style | 強くなった絆
 
 地震発生以来十日が経ちました。本校周辺では、電気、ガス、水道が概ね復旧したようで、本校の格技場トイレを利用する方はほとんどいなくなりました。東北地方ではまだまだ復旧もままならない状況なので、自分たちがひとまず復旧したからといって、素直に喜ぶわけにはいきません。
 今回の地震では、多くの企業で自宅待機となり、それにガソリン不足のために自家用車での移動が困難だったこともあって、家族で給水所まで水をもらいに行ったり、みんなでリュックを背負ってマーケットに出かける姿が多く見られました。
 普段なら、子どもが親と一緒にマーケットへ買い物に出かけることは少ないと思います。子どもは友達と遊びに出かけていたり家でゲームをしていたり、お父さんは会社の人と出かけていたりと、家族がバラバラの生活をしていることが多いと思います。しかし今回は、学校も会社も休みのところが多く、親子揃ってペットボトルを袋に詰め込んで給水所に並んだり、親子でリュックを背負って買い出しに出かけたりと、普段疎遠になっていた親子の絆が深まる光景を多く見かけました。
 本校生の中にも、自転車の前かごと両手にトイレットペーパーなどの日用品がいっぱい入った袋を持ちながら、わざわざ学校に立ち寄ってくれた者もいました。私たちが小さかった頃は普通だった「おつかい」や「みんなでちょっと買い物に」という姿が、今回、あちこちで見られました。
 又、親子で遊ぶ姿も多く見られました。遠くの行楽地に出かけなくても、家の近くのグラウンドなどで、親子で遊ぶことはとても良いことだと思います。本校も生徒が登校してこないので、近所の方が親子でサッカーをしたり、キャッチボールをしています。
 電気もない、ガスもない、水道ない、ガソリンもないという状況の中で、家族の絆は強まったように感じました。
 私たち日立北高の職員も同じです。生徒全員を無事に保護者の方にお渡しするためにみんなで泊まり込み、電気の止まった暗い中で一つのストーブを囲みながら一晩中話をしたり、一つのストーブの周りに寝袋を持ち込んで雑魚寝をしたり、学校に泊まり込んでいるいる者のために多くの職員が差し入れを持ってきたくれたりと、元々仲のよかった日立北高の職員ですが、その絆が今まで以上に強くなった実感があります。
 地震の被害はなかなか復興できないかもしれません。しかしその中で、お互いの絆がより強くなったことを前向きに捉えて、これからの復興に努力していきます。


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