Nippoku Style | 節目の全校集会を行いました
 
 例年以上のクリスマス寒波になりました。冷たい雨や北風に震える3連休でした。連休中日の23日(日)には、日立市で発見された不発弾の処理作業があり、東海駅〜日立駅の間で常磐線が一時運転を見合わせました。
 21日(金)は今年最後の授業日であり、午後から恒例の大掃除、全校集会を行いました。3年生は22日(土)から冬季課外が始まりましたので、気分を切り替える集会になります。
 大掃除は学校の隅々まで、集会が始まる直前までの時間を有効に使って行っています。生徒の皆さんは、お世話になった校舎の分担区域をきれいにしたという充実感を持って、集会に臨んでいます。
 集会では、9月以降の大会等で活躍した生徒への賞状伝達が行われました。今回は野球部(駅伝大会)、ソフトテニス男女、バスケットボール男女、バドミントン、柔道、弓道、登山、美術、書道、俳句及び読書感想文と多種目、多分野に渡り、29名を表彰しました。
 続いて、校長、加藤生徒指導部長、三本松進路指導部長の講話があり、節目の行事を終了しました。以下は私が話した内容です。
○ 日本漢字能力検定が募集した「今年の漢字」は『金』でした。理由の一つが「多くの金字塔が打ち立てられた」ことです。その「金字塔」の一つが京都大学:山中伸弥教授のノーベル賞受賞です。50歳での受賞は「ips細胞の発見」がいかにすばらしいかを物語っています。
 
 山中先生の受賞で、日本ノーベル賞受賞者で、理系は16人目とアジアではもちろん最多です。経済的に成長著しい中国や韓国はゼロです。
 
 また、数学の世界には、フィールズ賞というノーベル賞に匹敵するものがあります。その賞を日本人は3人が受賞しています。ちなみに中国、韓国はゼロです。そう、日本は世界に冠たる理数大国だということです。
 
○ 今日、スマートフォンやiPadなどのIT機器が爆発的に普及していますが、そのほとんどの技術は日本で発明されたもので、IT社会を支えています。
 
 例えば、携帯電話やパソコンで活躍するフラッシュメモリーですが、これは東芝の舛岡富士雄(ますおか ふじお)の発明です。
 
 液晶材料を使ったディスプレイは日本のシャープが世界で初めて実用化に成功しました。
 
 光通信のインターネットですが、光通信を世界で最初に提唱したのは、東北大学の西澤潤一教授で、「光ファイバー」などを開発しました。
 
 このように、日本は世界有数の科学技術立国です。しかし、今後の保障はどこにもありません。
 
 毎年大量の留学生を帰国させ、巨額の研究資金を投入して国をあげて研究を進める中国、企業と政府が連携して国際競争力を高める韓国、中国以上に潜在力があると言われるインドなどが日本を追っています。それでも、資源のない日本は、科学技術を進めることしか、生き残る道はありません。
 
 では、科学技術を高めるだけでよいか。残念ながら日本人はPRが下手です。これまでは高い技術さえあれば、何もしなくても買ってくれました。しかし、市場は新興国に移っています。使いやすさやコスパ(コストパフォーマンス)が優先される時代です。そこで求められるのは、世界で通用する経済や流通の力です。
 
 従って、今後の日本は「世界最先端の科学技術を発展させ、それを活かすために世界で通用する経済や流通の力を伸ばすこと」です。言い換えれば、「理数系の発展とそれを活かすための文系の成長であり、その原動力は、まさに君たち高校生です。」
 
○ 最近、気になることが言われています。今の若者は「グライダー人間」が増えているということです。「グライダー人間」とは自分の力で飛べず、先生に引っ張られて受け身の勉強はできるが、自分で調べたり考えたりできない人間です。大学で、調べたり、考えたりできず、論文を書けずに立ち往生してしまう学生が増えています。
 
 人間には、「グライダー能力」と「推進能力」があり、グライダー能力は知識を吸収しますが、推進能力は自分で調べ、考えます。もちろん、「推進能力」だけでは、どこへ飛んでいくかわからず、危険です。両方の力がバランスよく必要です。
 
 「推進能力」を身につけるには、何事にも関心や意見を持ち、自ら調べようとする姿勢が必要です。「推進能力」と「グライダー能力」が一つになって優秀な「飛行能力」となります。
 
 皆さんには、探求心や問題意識、苦しいことにも耐えて我慢する気持ち、つまり、強い推進力を持った優秀な飛行人間として成長し、将来の日本を牽引する社会人になるよう願っています。




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