Nippoku Style | 心に残ったこと
 
 先日の土曜日に、地元の中学校の体育祭に招待されました(→ その記事はこちらです)。私たち招待者は、本部のテントの中に席が用意されており、その席で生徒達の活躍を見ていました。
 生徒達が生き生きと競技している姿は本当にすばらしく、中学生達のパワーを感じさせてくれる体育祭でしたが、そんな中で、一番心に残ったのはこんなことなのです。
 ある学年のクラス対抗リレーでのことです。一学年3クラスでしたが、クラス全員がトラックを半周ずつ走って一つのバトンを次の走者に繋ぎ、最後にアンカーがトラックを一週して本部前でゴールするというものでした。
 スタートして数人が走り、3クラスともまだほとんど差がついていないとき、あるクラスの走者がバトンを受け取った拍子にバランスを崩し、本部前で転倒してしまいました。倒れた生徒は直ぐに立ち上がり、バトンを拾って走り出しましたが、その時点でトップのクラスとは半周近く差がついていました。
 その時点で、もう追いつけないと思った方も多かったと思います。でも、そのクラスの生徒達は、半周の差をものともせず、みんな必死に走りました。クラスみんなが、本当に一生懸命走っていました。
 クラス全員が走るリレーですから、40人近くの生徒達が次から次へとバトンを渡していきます。そうしているうちに、半周近くあったトップとの差が、いつの間にかほとんど無くなってしまったのです。そのクラスの生徒達は勿論、他のクラスの生徒達も、みんな夢中です。
 そしてとうとう、アンカーまであと数人というとき、そのクラスはトップに躍り出ました。
 本部で見ていた私たちも、みんな無言で生徒達の走る姿を追っていました。そしていよいよアンカーにバトンが渡されました。三つのクラスの差は、ほんのわずかしかありません。アンカー三人ともそれぞれのクラスの応援を受け、抜かれまい、あるいは抜こうと必死に走っています。
 最終コーナーをトップで抜けてきたのは、最初に半周近く遅れていたクラスのアンカーでした。そのままゴールかと思った瞬間、その走者はバランスを崩して転倒してしまいました。ゴールまであと2〜3メートルの所でです。
 本部席で見ていた私たちの間からは、思わず「えーっ!」という声が上がりました。半周遅れからトップに立ち、ゴール直前でのまさかの転倒。その走者は、なかなか起き上がることができませんでした。
 やがて気を取り直したように立ち上がり、土埃を払おうともせず、列の一番最後に歩いて行く姿は、見ていてかわいそうでした。でも、走り終わって一列に並んでいたそのクラスの生徒達が、その生徒に向かって、誰が言い出したわけでもないのに、自然に拍手をしているのが本部席からよく見えました。
 列の一番最後に並んだ生徒はその場に座り込んで下を向いてしまいましたが、近くにいた先生が近づき、座っている生徒の土埃を無言で払ってあげていました。
 生徒達の元気な姿の印象とはまた違って、生徒と先生方が日頃から心の繋がりを大切にして生活している様子が感じられる光景で、とても心に残りました。


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