Nippoku Style | 人の温かい心に包まれて
 
 3月11日(金)の巨大地震から5日が経ちますが、今でも結構大きな揺れが続いています。常磐線も復旧の目処が立たないようなので、学校に生徒達の元気な声があふれるのがいつになるのかもわかりません。
 今回の災害で、卒業生や地域の皆さんの温かい心に触れることができた出来事がいくつもありました。
 保護者が迎えに来ない生徒達が、まだ教室に泊まっていたときのことです。
 避難所である格技場は、自家発電機で明るくなっていましたが、生徒達が泊まっている教室には明かりがありませんでした。そのため、避難されている皆さんの多くは、生徒達が泊まっていることを知らなかったようです。あるとき、本校職員が避難していた女性の方から、「まだ帰れない生徒さんもいるんですか?」と聞かれたので「まだ○人が泊まっています。」と応えると、その方は大切にしまってあったお菓子の中から、「これ、ほんの少しですが、生徒さんにあげてください。」と差し出してくれたそうです。
 あとからその話を聞き、本当にありがたいことだと思いました。地震が続いている中、避難所生活がいつまで続くがわからない時に、大切に持ってきた食べ物の一部を生徒達のために分けてくれたその方の気持ちを、涙が出るぐらい嬉しく感じました。
 また、学校に泊まっていた時の深夜2時頃、携帯電話にメールの着信がありました。メールを見ると、午前0時47分に発信されていますので、約1時間かかって私の所についてことになります。
 送信者は卒業生のKさんでした。Kさんについては以前にこんな文章を載せました。いただいたメールの文章は短いものでしたが、遠くで心配してくれている卒業生の気持ちに感謝しました。
 他の方からも心配するメールをいただきましたが、メール一つで、お互いの気持ちが繋がっている安心感を感じ、とても嬉しく感じました。
 自宅まで2時間も歩いて帰る途中、わざわざ学校に立ち寄ってくれた卒業生もいました。
 12日(土)の夜、私が避難所の様子を見ようと外に出たら、正門からこちらに歩いてくる二人の女性の姿がありました。暗闇でよく見えなかったので、私が「避難されてきたのですか?」と聞くと、「あっ、先生!無事だったんですね。様子を見に来たんですよ。安心したぁ。」と暗闇から返事がありました。よく見ると、本校の6回生で、私が2年間担任した生徒とその娘さんでした。
 話を聞くと、地震のあった夜は職場に泊まり、二日目の今日、娘さんを学校に迎えに行き、そこから知り合いの方に十王駅まで乗せてきてもらったそうです。十王駅から田尻町にある自宅までは徒歩で帰るしかないので、その途中、学校に寄ってくれたというのです。自分の家に帰るだけでも大変なのに、心配してわざわざ立ち寄ってくれた気持ちがとても嬉しく感じました。
 泊まっている私たちのために、わざわざ自宅から、あるいは何時間も並んで買ってまで、いろいろなものを持ってきてくれた職員もたくさんいました。ありがたいことです。
 今回の地震の激しさは想像を絶するもので、自然の力の凄さを見せつけられました。しかし、その自然の猛威の中で、人の温かい心に包まれて生きていることを感じることができ、「人間は助け合いながら生きているんだ」ということを改めて確信しました。


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